導入事例:宮城厚生協会様


宮城厚生協会では東日本大震災の教訓から法人4病院すべてにクラウドPACSサービス「XTREK F.E.S.T.A」を導入。
大切な医療情報の保護と施設毎の理想的な画像運用を実現。施設関の画像連携にも取り組んでいる。

宮城厚生協会について

公益財団法人 宮城厚生協会は、1950年(昭和25年)に設立、「いつでも、どこでも、だれもがよい医療をうけられる」ような制度をめざし、地域住民の人々をはじめ、各医療機関との連携をはかりながら、「無差別・平等」「安全・安心」の医療及び介護活動に取り組んでいる。宮城厚生協会は、県内最大の私的医療経営体で、全日本民主医療機関連合会(民医連)に加盟しており、現在4病院11の診療所、9箇所の訪問看護ステーション、6箇所のヘルパーステーションで、医療・介護事業を行っている。

システム導入経緯

宮城厚生協会では、2013年秋の坂総合病院を皮切りに、法人4病院すべてにクラウドPACSサービス「XTREK F.E.S.T.A」を導入。クラウドPACS導入の理由は、未曾有の被害を受けた東日本大震災の教訓から、大切な医療情報を安心安全に保管するシステムを宮城厚生協会全体で検討していたこと、既にPACSを導入していた坂総合病院での更新が迫っていたこと、震災の被害で機能を失った長町病院が、新病院を建設し稼働を始めること、そして未導入だった古川民主病院へのPACS導入。これら複数の要因を解決するシステムとして、 ジェイマックシステムのXTREK F.E.S.T.Aを選択した。

宮城厚生協会 坂総合病院について

坂総合病院は、1912年 (大正元年)私立塩釜病院として創設、以来100年余の歴史をもちます。現在、塩釜市を中心に、多賀城市、七ヶ浜、利府、松島と仙台市東部地域を合わせた人口25万の地域を診療圏とする地域中核病院である。許可病床数357床、入院患者数は約330人、一日の外来患者数は約830人、救急車搬入は年間約2500件で、患者会活動、職域健診などの医療活動から心臓血管外科を含む総合的三次機能まで、地域医療の可能性を追求しています。診療科は、内科、外科、総合診療科をはじめ、循環器科、心臓血管外科など22科を標榜。「いつでも、どこでも、誰でもが安心してかかれる」医療機関をめざし、日々取り組んでいる。

外部での画像保管で、患者さんにとっても大きな安心

坂総合病院 放射線室室長 本館 広樹氏に聞く

坂総合病院放射線部門の概要について、教えてください。

診療放射線技師は16名、放射線科専門医は常勤医1名です。検査装置ですが、1.5TのMRI、64列のMDCT、心カテと腹部用のアンギオ装置、RI装置、X線装置、他に一般撮影装置、乳房X線撮影装置、骨密度装置といった構成となっています。検査数ですが、CTが約800件/月、MRIが約400件/月、RIが約70件/月、一般撮影は約4000件/月となっています。

東日本大震災での、発生時/発生後の状況についてお聞かせください。

忘れることのできない2011年3月11日、14時46分のことでしたが、地震発生時はたまたま休暇を取っており、自宅におりました。発生後すぐにラジオをつけ、津波を含め、ただ事ではないと分かり、病院に駆け付けましたが、迅速に緊急のトリアージ体制が敷かれており、救急の患者さんが搬入されている状況でした。津波に関しては、当院からおよそ700メートルのところまで迫っていましたが、幸い高台に立っており被害は受けませんでした。トリアージとともに緊急災害対策本部が設置され、放射線部門でも2交代制を敷き、夜間においても5/6人体制で2週間程続けました。職員によっては帰宅することができず、病院内に寝泊まりしながら勤務を続けた職員もいます。通勤ということでは遠方から勤務している職員は、ガソリンの問題で通えないという問題もありましたが、なんとか体制を整えて、病院機能を維持していました。

病院自体、放射線部門における被害や問題についてお聞かせください。

ライフライン、まず電気についてですが、当院は自家発電設備を備えてありましたので、地震発生後すぐに自家発電に切り替え、電気を供給しました。ただ、数日間は持ちこたえることができましたが3日目以降から燃料が底をつきはじめ、その状況を、院長がテレビで訴えかけ、中央省庁からの供給を得ることができました。水道については、数年前から井戸水の利用を開始していましたので、問題なく乗り切ることができました。また院内の状況ですが、地震発生後、エレベーターが止まりましたので、入院患者さんへの食事の提供に支障が出ないよう、バケツリレー的な配膳で対応しました。功を奏したこととして、2006年から病院全体で災害対策訓練を行っており、実は地震発生の3日前にも訓練を行っており、実際に役立ったという経緯があります。また津波被害においては、低体温症の患者さんが多く検査撮影も多かったのですが、検査時に通し番号をつけ、正確な情報は後で入力するという方法で行いました。後々、これらの情報の結びつけ作業では、5,600件以上ありましたので、少し苦労しました。

各メディアでの報道も刻々と変わる状況でしたが、病院内における情報の混乱はありませんでしたか?

実際は2日ほどは情報が入ってきませんでしたので、津波被害についても具体的な被害の状況、被害の全体像がわからない中、医療展開を行ったというのが実情です。

震災以降の新たな取り組みや活動についてはいかがですか?

宮城県においてですが、医療情報という問題において、石巻市立病院が情報の共有化ということで山形市立病院と提携し、互いの院内に設置した専用サーバーに、医療データをバックアップし、医療情報の二重化をはかっており、当院でも今回のPACS更新においては、外部での医療情報の二重化は絶対条件ということで進めました。

今回弊社のクラウドPACSサービス「XTREK F.E.S.T.A」の導入、災害対策が一つの大きな要因だったのでしょうか?

そうですね。やはり災害対策を踏まえた外部での二重保管ということが一番の大きな要因でした。また画像保管について、院内に2年、それ以前のものはデータセンター側で保管するのですが、データセンターに保管している画像を参照する際のレスポンスの良さも、選定要因の一つでした。

クラウドPACSの導入は患者さんへのメリットにつながりますか?

当院はたまたま今回の震災においては、大きな被害を受けませんでしたが、今後もこのような大きな災害が起こる可能性は大いにあります。データ保管を二重化することで、病院に被害があっても外部に画像を保管してあるということで、患者さんにとっても大きな安心につながるのではないでしょうか。

従来使用していたPACSと比べても速く、快適に使用できている

坂総合病院 放射線室 木村 文正氏に聞く

XTREK F.E.S.T.A導入の経緯について教えてください。

当院については、従来(2005年)からPACSが導入されていましたが、更新時期が迫っており検討を行っていました。また、他院(宮城厚生協会の)についても、PACS未導入の病院もあり、その点を考慮し、協会全体でシステムを導入できないかという課題がありました。その検討中に東日本大震災が発生、災害対策という条件が加わり、クラウドPACSの検討に至り、各社の製品を検討した結果、ジェイマックシステムのサービスを導入することになりました。

クラウドPACSを導入する上で、特に留意した点を教えてください。

クラウドということでセキュリティに関しては、厚生労働省や総務省、経済産業省から出されている各ガイドラインに対応しているかどうかを留意しました。使用する回線についてですが、VPNでの閉域網を使用するので、安心だろうという評価をしました。また災害対策面では、クラウドサーバーのあるデータセンターについても、離れた場所に2拠点あり、データセンター内でも二重化しているということで、充分担保できるだろうという考えでした。一つ気になっていたのは、クラウドサーバーからの画像表示スピードについてですが、ダウンロードスピードもCT/100枚のデータでほぼ10秒という結果で、検討していたプリフェッチ機能を使用することなく運用することになりました。

運用を開始される際の既存データの移行についてはスムーズに行われましたか?

多少トラブルが起きたこともありましたが、12TBの画像データ量を約2ヶ月で移行できました。何らかの理由で画像が抜けたトラブルもありましたが、原因をクリアにし、最終的には問題なく全てのデータを移行し運用を開始できています。

検索ブラウザや画像ビューアについて、GUIや使いやすさはいかがでしょうか?

前もってデモンストレーションの際に感じたのですが、日本語表示ボタンが非常に分かりやすいという評価がありました。クラウドサーバーからの画像取得、画像ビューアでの描画速度についても、従来使用していたPACSと比べても速く、快適に使用できています。

今後の計画や取り組み等がありましたらお聞かせください。

クラウドサービスを選定した大きな要因として、宮城厚生協会4病院での画像連携、相互利用ということがあります。4病院での連携を基本に、さらにそれぞれの地域連携にまで発展させることを期待しています。

リストから画像を選択してからの画像表示スピードが早い

坂総合病院 放射線室主任 田中 由紀氏に聞く

XTREK F.E.S.T.Aを最初にご覧になられた際の感想、職員の方々の感想はいかがでしたか?

まず、リストから画像を選択してからの画像表示スピードが早いということです。今まで使用していたPACSよりかなり速く、皆驚きました。選定の際には放射線技師は元より、各診療科の先生に評価をいただきましたが、特に呼吸器の先生には、全ての胸部読影を行っている関係上、既存システムとの比較を含め、ビューアとレポート、両方の評価を行っていただきました。

システム導入後の他の技師さんや看護師の方々の感想をお聞かせください。

今まで使用していたPACSのスピードがいかに遅かったかを言われます。やはり、画像展開スピードの速さについての良い感想を聞きます。もともとPACSを使用していたということ、電子カルテからの画像表示連携ということで、他の職員からの問題もなくスムーズに移行できました。どのように使えばよいかわからないといったクレームはなく、パスワードの変更方法を聞かれるくらいでした。

保守・サポートの対応についてはいかがでしょうか?

先程お話ししましたが、呼吸器については読影件数が多いので、スムーズに読影業務が行えるよう、かなりのカスタマイズをしていただき、先生からも全く問題ないと言われています。

弊社製品に対して、何か要望がありましたらお願いします。

設定についてですが、設定箇所が色々なところにあるので、覚えきれず、他の職員への説明が仕切れないことが多いので、もう少しまとめて簡単にできるといいと思います。

宮城厚生協会 長町病院について

長町病院は、仙台市南部の50年の歴史を持つ都市型の中規模病院として、現在、5,000世帯を超える友の会会員を有している。2011年3月11日の東日本大震災で長町病院でも甚大な被害を被り、附属クリニックは閉鎖、2014年3月末、自然採光・自然換気、次世代を見据えたエコロジーと省エネルギーという設計コンセプトで、新病院が完成、開院した。病床数は、一般病床53床、回復リハビリ91床の計144床で、1日の外来数は約220名。診療科は、内科、循環器科、呼吸器科をはじめとする8つの診療科で、高血圧や糖尿病などの慢性疾患管理から予防、リハビリ、在宅まで幅広い医療活動を展開している。 

専門医/他の職員を問わず、直感的に使えるところが非常に良い

長町病院 放射線室室長 佐藤 信氏に聞く

長町病院放射線部門の概要について、教えてください。

診療放射線技師は常勤3名ですが、地域の中においてのかかりつけ救急外来を行っており、協会関連病院からの支援を受け、人員体制を取っています。検査機器ですが、16列CT、X線透視、一般撮影、フラットパネル、CR、骨密度の他、超音波、内視鏡、眼底検査装置を備えています。1ヶ月の検査数は単純撮影で約800件、CTで約180件うち造影が1割、透視で約40件(半数が事業所健診)です。

XTREK F.E.S.T.A導入の経緯について教えてください。

長町病院としては、震災後の病院新築時にPACSを導入することになっていました。その後、宮城厚生協会全体でPACSを導入することになり、各病院と調整を取りながら導入ということになりました。デモ時においてXTREK F.E.S.T.Aが良いと感じた点ですが、レポートシステムのカスタマイズが柔軟に対応可能ということです。

新病院開院に会わせてPACSを導入されましたが、設置から運用までの流れについて教えてください。

まず、2013年12月に旧病院のほうにPACSサーバーを設置しました。その後、新病院開院までは画像保存を中心に運用していました。2014年3月末の開院前には、画像ビューアの使い方について、各診療科ドクターへのトレーニングを行いました。現在は、病棟にも端末を設置し、院内配信も含めたフィルムレス運用を開始しています。レポートシステムを使っているドクターからは、非常に入力しやすいという評価を聞いています。

システム導入前、導入後の業務変化やメリット

フィルムレス運用になったことで、放射線技師、看護師が行っていたフィルム管理業務がなくなることが大きいです。それぞれが本来の業務に集中できることが一番のメリットではないでしょうか。また、街中の病院ですので、フィルムを保管するスペースも限られていますし、データでの電子保管は管理面においても優れていると思います。

システムをご使用になった感想をお聞かせください。

画像ビューアのXTREK VIEWについては、直感的に使えるというのが印象でした。機能については、ジェイマックシステムさんのコンセプトである、放射線科医師、技師が使いやすいように設計されていると聞いています。検査画像のマトリクス表示は、画像を見てすぐに分かりますので良いと感じますね。専門医/他の職員を問わず、直感的に使えるところが非常に良いと感じます。

坂総合病院 放射線室 杉山 淳氏に聞く(震災時、長町病院放射線室室長として勤務)

東日本大震災での、発生時/発生後の状況についてお聞かせください。

発生時は、旧病院の放射線室にいました。たまたま検査は行われていなかったので患者さんはおりませんでした。勤務中の技師が2人おり、数日前に少し大きな地震がありましたので、この前もこの位の地震があったねと話している最中に、どんどんおおきな揺れになり、機器や本棚が倒れないよう押さえてなんとかしのぎました。天井が大きく揺れ、落ちるのではないかという心配、命の危険も感じました。幸い病院自体は軽微な損傷で済みましたが、停電がおき、検査装置が全て使用できなくなりましたので、電気が通るまでは各装置が故障しているかどうかも分からない状況でした。数日後、病院ということで優先的に通電されましたが、幸い装置にも大きな被害はなく、使用することができました。各装置メーカーさんの方も飛んできたくださり、サービスマンの方々には感謝しています。当院にはクリニックも併設されているのですが、クリニックでは、非常に大きな亀裂が発生し、床が斜めに傾きましたので、すぐに立ち入り禁止とし、そちらでの撮影も当然できなくなりました。非常に物が散乱してましたので、物の整理で数日かかりましたね。放射線技師としては、通電されるまでは撮影ができませんので、患者搬送や給食運搬、資料整理等を行っていました。また病院で倉庫を借りましたので、クリニックの備品を運ぶ作業にも就いていました。

患者さんへの対応も大変だったかと思うのですが。

震災直後から院長、事務長が中心となり動いていました。当院の上階(4階)の方では揺れが非常に大きく余震も続いていましたので、1階の内視鏡室や他の部屋に患者さんを移動することになりました。エレベーターも止まっていますのでリハビリスタッフや他の職員と協力し、人海戦術で階段を使用し患者さんを移動しました。病院としては救急指定ではないので、大規模なトリアージはなく、軽微な疾病から受け入れていましたが、電気を含めライフラインが止まっていることもあり、より人員を必要としている坂総合病院や泉病院の方へ一時的に移動した職員もいました。

震災発生から新棟建設にいたるに経緯についてお聞かせください。

外来の患者さんについてですが、当院は10数年前に外来専門のクリニックと入院中心の病院に分けて診療を行っていましたので、クリニックが使用できなくなり、外来の患者さんが病院側の1階に集中するという問題もおきました。そのような中でクリニックを壊し、外来も含めた病院として新棟を立てることになり、旧病院は改修後、有料老人ホーム、健診センターとして使用することになっています。

今回クラウドPACSを導入されましたが、システムの導入と災害対策についてのご意見をお聞かせください。

当院は今回のPACSが導入されるまではフィルムでの運用でしたが、フィルムの管理や保管の問題は常に抱えていました。また、撮影後に各診療科へフィルムを持っていく手間もありました。さらに今回の震災を経験したことで、院内だけに患者さんの情報を保管しておくことは非常にリスクが高く、費用対効果の問題もありますがクラウド化し外部で保管することが好ましいですね。協会4病院での画像連携や外部読影も可能になりますし、クラウドPACSを導入することは正解だと感じています。

宮城厚生協会 古川民主病院について

古川民主病院は、1976年(昭和51年)、古川民主診療所として荒川小金町に開設。1987年(昭和62年)に現在の大崎市古川に移転。診療科は内科、外科 、小児科、歯科などを標榜。友の会と共に「働く人々の医療機関」として、救急医療・労災職業病(じん肺 ・ 振動病) ・ 健診事業に取り組み、地域医療機関との連携に努め、地域医療の向上に寄与している。外来では水準の高い慢性疾患診療、入院では成人病中心の二次医療を行い、在宅・介護を含めた総合医療を目指している。 

患者さんの理解度に加え,サービス向上に繋がっている

古川民主病院院長 呉 賢一氏に聞く

古川民主病院の概要と特色について教えてください。

当院は全日本民主医療機関連合会の宮城民医連の一員、宮城厚生協会が経営する病院の一つです。当時、医療機関に恵まれない人たちのために安心してかかれる病院をということで、小さな診療所からスタートし、1987年に現在の地に移転/増床し、現在に至っています。現在は2つの病棟と外来で、かかりつけ医療機関として療養患者さんを中心に診療を行っています。
病院開院当初は、急性疾患の患者さんの対応もかなり多かったのですが、現在は大崎市民病院に救急救命センターができ、地域医療連携として役割分担が進み、急性疾患の重篤な患者さんはそちらへ、比較的軽少な方や、高齢者/要介護者の慢性疾患の方は当院へとなっています。また、病院に来れない患者さんの訪問診療についても受け持っています。地域としては充足していない小児科の診療も行っています。民間病院としてはめずらしく歯科もあり、臨床指定研修病院として指定されており、各病院から研修にきています。歯科の場合は開業クリニックが多いと思いますが、1人では対応が難しい複雑な歯科疾病、口腔外科、矯正などを担っています。健診については、企業の産業医を担っており、協会けんぽの健康診断、メタボリックシンドロームの特定保健指導にも取り組んでいます。

今回、クラウドPACSを導入いただきましたが、導入の経緯についてお聞かせください。

当院はデジタル化はしていましたが、長年フィルムでの読影、運用を続けていました。フィルム運用で特別に不満があったわけではありませんが、検査機器のデジタル化が進み、フィルムコストもかさむようになったこと、近隣の医療機関でもPACS導入が進み、CD/DVDでの画像のやり取りが多くなっています。また当院単独では難しいと考えていたPACS導入ですが、様々なメリットを考慮し、宮城厚生協会全体でクラウドPACSを導入することになりました。

画像ビューアXTREK VIEWをお使いになられていますが、GUIや使い易さについての感想をお聞かせください。

レスポンスについては全く不満はありません。該当検査をクリックすれば画像が素早く表示されますし、レイアウト変更は容易ですし、ウィンドウニングをはじめ機能も豊富です。各ツールを使用し観察することで見逃しも少なくなったと感じています。GUIについてですが、各機能メニューやコマンドについてはもう少し大きく見やすい方が使いやすいのではと感じます。

患者さんの反応やメリットについてはいかがでしょうか?

フィルムからモニターに替わり驚く患者さんもいますが、X線画像だけでなく、超音波画像もPACSに取り込んでいますので、拡大して見せることで、患者さんも理解しやすくなっていると思います。また、過去の検査画像についてもすぐに比較表示できますので、これから長く使っていくと同時にその有益性を実感すると思っています。外来においても、撮影が終われば瞬時に診察室で見ることができますので、フィルム現像の時間もなくなり、患者さんの待ち時間も減り、サービスの向上に繋がっていると思います。

東日本大震災での、発生時/発生後の状況についてお聞かせください。

棚が壊れた、物が倒れたというような被害はありましたが、病院としての建物の被害、人的な被害は幸いありませんでした。発生直後は電気が通っていませんでしたが、重油のストックがありましたので、非常の自家発電でなんとか診療を行っていました。検査についてはCT等の大量に電気が必要なものは止め、X線写真や生理検査など最低限の検査だけ行いました。また、自宅で療養されており人工呼吸器を使用されていた患者さんについては、電気が回復するまで緊急避難的に入院いただいたこともありました。医師会との連携で地域の避難所を訪問し、体調の悪い方の診療も行いました。

システムの導入と災害対策についてのご意見をお聞かせください。

震災の際にフィルム庫は大丈夫でしたが、古いカルテを保管していた倉庫が壊れ、失われたり閲覧できなくなったわけではありませんが、保全性についての危機感を感じました。法律上は5年保管ということになっていますが、実際10年以上経過してからカルテを調べなくてはならないこともありますし、カルテについては可能な限り無期限で保管していくことにしています。残念ながらフィルムについては、スペースの関係で10年保管としていましたが、今後はデジタル化したことでほぼ無期限での保管が可能だと思いますし、学術的な活動や行政からのアクションにも対応できると思います。

宮城厚生協会 泉病院について

泉病院は、1982年(昭和57年)、宮城県泉市(現在の仙台市泉区)に宮城民医連の脳卒中診療センターとして開院。病床数は一般42床、回復リハビリ37床で、1日の平均外来数は約160人、年間救急搬入が約400件。脳神経疾患を中心に、急性期から慢性期まで、予防からリハビリテーションまで、そして外来~入院~在宅医療までと、総合的な医療を提供。地域住民の高齢化に伴い、慢性疾患や生活習慣病、神経難病にも力を入れており、頭痛、もの忘れ、糖尿病、循環器といった専門外来にも力を注いでいる。 

診療所や中小病院も含めたクラウド利用は非常に合理性がある

宮城厚生協会 放射線部門代表室長(兼 泉病院放射線室室長) 前谷津 文雄氏に聞く

XTREK F.E.S.T.A導入の経緯について教えてください。

一番の理由は災害対策です。やはり震災の経験上、防災の視点でデータを二重化したクラウドPACSが第一の選択でした。もう一点ですが、2005年から使用している坂総合病院のPACSの容量が残り1年位でいっぱいになり、更新時期にさしかかっていたこと、合わせて長町、古川民主の2病院についてのPACS導入を検討し始めていたことです。これらの要因が重なり、協会全体で統一的にクラウドPACSを導入することにより、コストを抑えて設備投資ができるということもあり今回の導入に至りました。

システム選定の際は、複数の製品を検討されましたか?

まず、放射線部門の中に検討委員会を立ち上げ、国内で事業展開をしているメーカー9社の資料を収集しました。その後協会の委員会も立ち上がりましたので、そちらへ提案を行い吟味を重ね、2社に絞りました。デモや施設見学を踏まえて、最終的にジェイマックシステムのクラウドPACSに決断しました。

今後の計画についてお聞かせください。

今後、どこの病院でも読影/画像診断を行うということは難しくなると思います。ただし、どこでも画像診断を受け付けるような体制を作っていくことは医療機関として必要で、診断の質向上、リスクマネジメントの一つと考えています。重要なこととして、放射線専門医のスキルを専門医のいない中小病院や診療所にどう展開していくか、遠隔画像診断事業を具体的に進めていきたいと考えています。幸い当法人にも常勤放射線専門医が2名在籍していますので、協会全体としての画像診断フローの再構築、システム化を考えています。また、クラウドシステムを使用することでビッグデータをどう活用していくかも今後の研究課題と考えています。ティーチングファイルや臨床研究データ、あるいは被曝管理、撮影条件なども含めた幾つかのテーマを研究できるのではと思っています。また、地域の診療所をクラウドで一元管理し、連携して繋げていくことで地域との窓口となること考えています。在宅医療、訪問診療を含めた画像診断についても、今後、調査研究を進めていく課題と捉えています。

協会全体での経営的なメリットについてお聞かせください。

私的経営の医療機関ですので、良いシステムを導入し、いかに経営に負担をかけないで運用するかということが、実は大きな命題となります。画像診断においては、診療報酬についての色々な問題があります。一つの選択として、診療所や中小病院も含めたシステム化というのは、集中と選択をしながらクラウドおよびネットワークを上手く利用し包括的にまとめていくことは、非常に合理性があると考えています。逆に言うと、自己完結型のPACSを導入するという時代は、当法人の考えとしては終焉をむかえたと判断しました。またコスト的にも、クラウドの導入により、イニシャル/ランニング両方のコストメリットが出ることを期待しています。

クラウドサービスを使用される上で、データセンターやセキュリティについての不安はありましたか?

坂総合病院ではPマークを取得していることもあり、各病院の医師や事務職員からの質問もありました。3省4ガイドラインを含め、2010年の「診療録等の保存を行う場所について」の一部改正で、外部保管が可能になったことが基軸になっています。ただ、ガイドラインで可能になったとはいえ、様々な問題が出てきますので、私たちの施設の中でどのように運用していくか、運用マニュアルを点検しながら、個々の問題に対応していくことを考えています。法的な整備があれば担保されるというのではなく、最終的には使用する側がセキュリティ意識を高めていくことが必要だと考えています。また震災の経験から、データセンターで情報は安全に保管されても、ネットワーク障害が起きた場合はどう担保するか、ということが問題になりました。そういう意味ではクラウドを利用したハイブリット型PACSというのは、院内に2年分のデータは保管されていますので、当協会の求めている条件に合致したと思います。セキュリティ面では、既に銀行のシステムではクラウド化されていますので、遅れて2010年に医療分野でもクラウド化が可能になったと思っていますし、震災後は安全なデータセンターの設備に対する信頼性も高まったのではないでしょうか。

宮城厚生協会のWebサイト