導入事例:松波総合病院様


松波総合病院では2014年7月の新病棟開設に合わせ、段階的にジェイマックシステムの放射線部門システム(RIS)のACTRIS および統合型PACSソリューションXTREKを導入。ワークフローを重視したシステムで高度な地域医療支援病院を支援している。

社会医療法人 蘇西厚生会 松波総合病院について

社会医療法人 蘇西厚生会 松波総合病院は、1911(明治44)年に稲葉郡加納町(現在の岐阜市加納)に加納町病院として創設され、その後1933(昭和8)年に、羽島郡笠松町に松波外科医院として新たに開院。1988(昭和63)年2 月には施設を新築、許可病床数437 床、15 の外来診療科を擁する総合病院として開設された。2014 年(平成26 年)7 月には新病棟を増設し,新規にヘリポートも備え,27の診療科を標榜、災害時にも医療の拠点として地域から頼りにされる病院として、重責を担っている。

同院では2014 年7 月の新病棟開設に合わせ、段階的にジェイマックシステムの放射線部門システム(RIS)のACTRIS および統合型PACSソリューションXTREKを導入。システム導入の経緯や導入後の業務効率の向上について、第二放射線科の伊原 昇部長と中央放射線室の萩野英俊部長にお話を伺った。

リアルタイム読影では一気に配信できる処理能力の高いシステムが必要

第二放射線科部長 伊原 昇先生に聞く

放射線部門の概要および特色についてお聞かせください。

当院の放射線科ですが、常勤放射線科医が4 名、後期臨床研修医が1 名、放射線治療および人間ドック部門に非常勤医が3 名、隣接のクリニックにも常勤医が1 名勤務しています。地方の病院としては珍しく多人数が在籍していますが、これは当院のポリシーであるリアルタイム読影に関係しています。日々の各種医療画像(一般撮影、CT、MRI、核医学シンチグラフィ、X 線TV など)に対して、検査が終了したらすぐ読影を行い、病変の有無や質的評価を画像レポート(検査結果報告書)として各診療科に即日配信、診察に間に合うようにしています。

また、基本的にルーチンではすべての画像を出しません。例えばルーチンのCT 画像はアキシャルの5 mm スライスと決め、確認をしてから必要な画像の角度や拡大など、再構成の指示を出し、もう一度画像を送信してもらい診断するという手順を踏んでいます。この点は私たちのこだわりでもあります。見る必要のない画像がたくさんあると、どうしても見逃しが出てきますし、疲れも出ますので効率的とは言えません。主治医側にとっても、精査した画像を配信されることで、何か問題があるということが一目瞭然ですし、ルーチン画像の中に違和感のある画像があることで、放射線科からのメッセージにもなります。画像診断上の知識を持つ放射線科医と、患者さんについての知識を持つ主治医で、同じ情報を共有し、ディスカッションすることが重要です。

システム導入の経緯についてお聞かせください。

導入にあたっては、電子カルテの導入と新棟移転についても並行して考えていましたが、旧PACSが限界にきていたこともあり、放射線科として先に予算化し導入したという経緯があります。システム導入を病院全体として経営的な部分も考慮した場合、PACSの導入について、専業メーカーを入れるかどうかというのは、説得に苦労する部分でもあります。まず専業メーカーのPACSを選定し、そのPACSに合わせたレポートシステムと一緒に導入、電子カルテはその後に選定/導入するという形で、放射線科として一番重要な部分を最初に決めたということもありますし、当院の場合は、特に副院長が非常にシステムに詳しく理解もありますので、この点ではスムーズに進みました。

導入の際に留意した点について、お聞かせください。

当院はリアルタイム読影を行っており、PACS選定についても比較的に放射線科の意見が通りやすい病院ではあります。リアルタイム読影では、病院が一番忙しい時間(患者さんが多いコアタイム)においても遅れることなく読影でき、一気に画像レポートを配信できる処理能力の高いシステムが求められます。読影用モニタについても、ベゼルレスのワイド画面1台で2台分の表示ができる高精細モニタを、放射線科医分に加え診療科医とのカンファレンス用としても準備しています。加えて重要なこととして、過去画像の参照があります。取得可能なかぎりオンタイムで参照できることが大切で、過去5 年分は見られるがそれ以前の分はメディアでしか見られないということではNG です。リアルタイム読影を行っていない病院ではかまわないかもしれませんが、当院に関してはその点も重要でした。2003 年から稼働していた以前のPACS サーバに過去のデータが蓄積されていましたので、それらの画像と検査したばかりの画像とをシームレスに参照できる処理能力が高いハードウエア、ソフトウエアということを重要視しました。他メーカーからのデータ移行や接続というのはPACS だけではなく、電子カルテにおいても非常にノウハウや経験が重要とされますが、その点ジェイマックさんは互換性、実績においても十分でした。

システム導入の際に、複数の製品を比較検討されたとお聞きしておりますが、他社システムとの比較および選定の決め手についてお聞かせください。

旧システムのメーカーを含め、数社のデモを行ってもらい選定を行いましたが、当院のワークフローに合わせたカスタマイズが柔軟に行えるということがポイントでした。近隣の施設や病院にもヒアリングを行いましたが、PCが苦手な女性医師でも問題なく使え、非常に良く対応してもらえるというような声もありましたし、知り合いの先生の施設で、使用している他社製PACSが非常に問題が多く大変だったが、レポートシステムを導入しているジェイマックさんが柔軟に対応しカバーしたという声も聞いています。

病院全体のIT化が進んでいますが、画像診断分野のIT化についてお聞かせください。

IT 化の進展に伴い遠隔画像診断も進化しており、PACS についてはほぼ問題はクリアされていると思います。しかし、電子カルテと患者さん(実際の患者さんがいないこと)が大きな問題です。また、主治医の顔が見えない、逆に言えば放射線科医はどういう人なのか、つまりコミュニケーションが取れないことも問題です。レポート作成というのは、すべて同じように画像を読んでいるわけではなく、どういう医師がどのような病気を疑い依頼してきたかにより大きく変わってきます。専門、専門外によっても変わります。例えば卵巣腫瘍に対して、婦人科医であれば当然知っているべきことでも、内科医であれば知らないこともあります。画像情報と臨床情報を組み合わせて画像診断をする、それとは別に切り離した観点からの画像診断も必要です。そのためには、依頼する医師、患者さんの住んでいる地域、患者層、疫学的(感染症等)なものなど、複合的な情報が必要になります。もちろん依頼情報に記載はされていますが、読影のたびにビデオ通話でコミュニケーションを取ることも難しいですし、このあたりを解決できる方法はないものかと考えています。

画像ビューア「XTREK VIEW」およびレポートシステム「LUCID」のGUIや機能、使い易さについてはいかがですか?

X 線や核医学などモダリティ別のタブに分かれていますので使いやすいですね。また、カスタマイズの範囲、自由度がすごく細かいので、一番良いひな形を作ってもらい、それを基にそれぞれが最適化して使いやすい設定にしています。GUI についても視認性が高く、PCが苦手な人でもすぐに慣れます。自分の必要なボタンのみを表示させ、使用しないボタンは消すことができますし、ショートカットもそろっています。常勤と非常勤の医師がいますので、ボタンでもショートカットでも使えますし、ログインするID によって自分のGUI 設定が管理されていますので、検査室や診療科、カンファレンスの時でも自分の端末と同じ操作ができるのは非常に便利です。

画像診断の場合、同じ患者さんの時系列での比較はもちろん重要ですが、しばしばこれは正常なのか? という場合、ほかの患者さんと比較することがあります。この点についてはカスタマイズ要望を出し、1 画面上に同一症例の違う患者さんの画像を、並べて表示できるようにお願いしました。リスク(誤診に対する)もありますが、その点は十分にコミュニケーションを取り、理解していただいた上でカスタマイズしてもらいました。小児の患者さんの骨端線の性状は何歳の時にどのぐらいか?というようなときに、10 年分の10 歳の患者さんの画像を並べることも可能です。

システム導入後の他の医師の方々、技師や看護師の方々の反応はいかがでしょうか?

昨年(2013年)の年末から年始にかけて電子カルテの稼働がありましたが、先行してXTREKを動くようにしてもらいましたので、切り替え時において救急患者さんが運ばれた際でも、検査画像は表示できるようになっていました。導入当初は慣れていないせいもあり、診療科の医師から問い合わせもありましたが、現在では全くありません。元々分かりやすいGUIですので、どの部門でも適切に使えていると思います。

運用前および運用後の保守サポート体制についてはいかがでしょうか?

当院は民間病院ですので、システムの入れ替えのために1 週間休むようなことは絶対できません。一昨年(2013 年)の年末から年始にかけて電子カルテの稼働がありましたが、PACS については先行して導入しました。システムへの切り替え時に救急患者さんが運ばれた際でも、検査画像は表示できるようになっていましたので非常に助かりました。日々の診療を続けながらシステム移行をしていきますので、導入直後は参照できない過去のデータがあったりしましたが、その際でもサポートに連絡することで、旧サーバから必要な症例データをピックアップし、送信してもらうことも可能でした。なかなか大変な作業ですから、すぐには無理だろうと思っていましたが、連絡するとものの5 分から10 分程度で、すぐに対応してもらえたことには驚きました。

全体を通して弊社への期待やご要望がありましたらお聞かせください。

診療の中で放射線科医が必要か否かという議論は既に終わっており、いかに放射線科医が適切な所見を書くかという段階にきています。放射線科医の能力を最大限に引き出せるかどうかというのは、PACSの使い勝手によるところが大きいと思います。RISでもPACSでも機能や使いやすさというのは、放射線科医、放射線技師、診療科医など、各々によって異なります。それぞれのプロフェッショナルが納得できるシステムを目指して開発を続けてください。

大量に増えた画像データを十分にこなせるかを一番重視

中央放射線室 萩野英俊部長に聞く

放射線部門(中央放射線室)の概要についてお聞かせください。

職員構成は診療放射線技師が29 名、事務員が4 名、看護師が(助手含)16 名となっています。 検査機器の構成ですが、当院は北棟(新棟)と南棟に分かれています。北棟の1 階には一般撮影が2 室、泌尿器系が1 室、新しく導入した64 列のCT が1 台で、2 階にはMRI が2 台あり、1 台は最新の3 . 0 Tを導入しています。同フロアには血管造影室を2 室備え、1 つはハイブリッド手術室として高性能の血管撮影装置を導入しています。南棟には一般撮影が1 室、X 線TV が1 室、主に心臓に特化して使用している高性能の320 列CT が1 台、16 列のCT が1 台となっています。また、隣接するクリニックの3 階には人間ドック・健診センターがあり、一般撮影、マンモグラフィ、CT がそれぞれ1 台、X 線TV が2 台という構成です。

当院の特徴ですが、地域医療連携に力を入れており、1977 年(昭和52 年)、県下初、国内3 号機という早さでCT を導入し、近隣の病院からの検査依頼を受け入れ、地域医療へ貢献してきた歴史があります。現在も岐阜市、羽島市をはじめする近隣の診療所・病院と密接な連携を取り、高度な医療を提供する地域医療支援病院として、病診連携に取り組んでいます。

システム導入の経緯についてお聞かせください。

まず、それまで使用していたPACS が新しい診断装置に対応できなかったことが理由です。発生する画像容量も非常に多く、システム全体のスピードもダウンし、診療に影響が出始めていました。これらを解決するためには、PACS の更新が必要という結論に達しました。RIS についても、PACS と別という考えは持っておらず、更新の際には同時に行うのが良いだろうと考えていました。以前使用していたシステムでは、制約が多く、いろいろな面で柔軟性に欠けているところがありました。RISは業務システムですので、何か不都合や問題があると、検査業務自体に大きな影響を与えてしまいます。この点からも、積極的に新しいシステムを取り入れたいと考えていました。

導入の際に留意した点について、お聞かせください。

以前のシステムが新しい検査機器の導入によってスピードが遅くなり、問題になっていました。検査後の画像登録/表示について、大量に増えた画像データを十分にこなせるのかということを一番に重視しました。また各メーカーのシステムについて、施設見学をさせてもらい、使用しているユーザーさんの声を聞き、その内容についても判断のポイントとしました。
以前は未導入だった検像システムについても評価しました。どうしてもモダリティや撮影方法によっては、画像の順番を並び替えなければいけないこともありますし、どこかでミスが起こった場合、後から修正が可能なこともあり必要と判断しました。

システム導入の際に、複数の製品を比較検討されたとお聞きしておりますが、他社システムとの比較および選定の決め手についてお聞かせください。

システム選定についてですが、院内に選定委員会を立ち上げ、各メーカーによる実機説明会を行いました。説明会では実際に使用する放射線科医や各診療科の医師、放射線技師が実際に触って評価をしました。当然、コストについて、経営層の評価もありました。他メーカーが悪かったわけではありませんが、最初のデモから仕様の詰めまで、ジェイマックさんが非常に真摯な対応だったと感じました。最終的な判断については、もう一度プレゼンテーションを行ってもらい、選定委員会の合意の元に決定しました。

放射線部門システム「ACTRIS」のGUIや機能、使い易さについてはいかがですか?

最初に見たときの印象ですが、直感的に使えると感じました。使いこなしていくうちにいろいろな条件を設定し、使いやすいように表示を替えたり、並べ替えることもできます。検査における患者さんの付帯情報(薬剤の禁忌情報やコメントなど)も、確実に最初に表示されますし、安心して使用しています。管理的な側面からも、細かな統計データまで取得できるので非常に助かっています。

ACTRISのオプション、核医学モジュールおよび放射線治療モジュールについてはいかがですか?

核医学については、以前は導入しておらず、今回が初めての導入で比較はできませんが、現場担当からは、要望には迅速に対応してもらってるいるようです。
放射線治療については、元々独自のデータベースを組んで管理していました。今回の導入にあたっては、元のデータベースを組み込んでのシステム移行が必須でした。線量の検証プログラムについてはまだ導入されていませんので、今後早期の導入を期待しています。

ビューアオプション(内臓脂肪計測、PDIメディア作成 )についてはいかがですか?

内臓脂肪計測FatChecker については、従来も別の製品を導入していましたが、利便性を考慮し、導入に至りました。主にクリニックの健診・人間ドックで使用していますが、過去の健診との比較結果が一目瞭然でわかり、患者さんからの評価も良いです。
PDI メディア作成のMediaPublisher についても、患者さんの検査リストからメディア作成ボタンを押すだけで、非常に便利に使っています。

運用開始前からシステムに慣れるまでのサポート、運用開始後の対応は十分でしたか?

システム稼働まであまり時間はなかったのですが、マスターづくりに関しても、的確なサンプルを提示・作成してもらい非常に助かりました。導入後についても、放射線部門の現場をはじめ、各診療科の現場にも立ち会っていただきました。運用立ち会いのサポート終了後については、若干不安がありましたが大きなトラブルもなく、現在に至っています。その後のサポートについても24 時間体制で受け付けていますし、日中、気軽に電話をかけても、すぐにリモートでの対応または回答をもらえますので安心です。

システム導入後の他の医師の方々、技師や看護師の方々の反応はいかがでしょうか?

放射線科医の先生については、選定の段階から一緒に進めてきましたので不満はないと思います。サポート体制もしっかりしており、かなりの頻度で連絡しても、適切に対応いただいているようですので、先生からの評価も高いと感じています。当科以外の検査室や内視鏡室でも使用していますが、順次要望を聞き取り、対応いただいています。

今後の計画などがありましたらお聞かせください。

当院では地域医療連携にも力を入れており、2012 年の8 月に地域医療支援病院として承認されました。近隣の診療所と効率良く連携して、地域の医療活動を積極的に行うことが求められています。現在は電話で検査依頼を受けていますが、いつでも検査予約を受けることができるシステムがジェイマックさんにはあり、2015 年の導入も決まっています。業務の効率化だけでなく、予約を増やし、検査機器の稼働率を上げることも期待しています。

全体を通してジェイマックシステムへの期待やご要望をお聞かせください。

ジェイマックさんを選定して良かったと感じています。システムというのは毎日使用していくものであり、思わぬトラブルやハードウェア的な寿命もあります。また病院毎に運用や要望も違いますので、いかに要望に合ったカスタマイズをできるかということも、製品の評価にも繋がります。これからも良い製品と小回りが利くサポートを提供できるように、そしてより良い医療を患者さんへ提供できるよう、お互いに切磋琢磨できる関係でありたいと思っています。

松波総合病院のWebサイト