導入事例:尼崎だいもつ病院様


尼崎だいもつ病院は、2016年4月の開院時に統合型PACSソリューション「XTREK」シリーズと放射線部門システム「ACTRIS」を導入。近隣の急性期病院と連携した回復期医療と、地域包括ケア診療の2本の柱で、地域住民へのトータルな医療介護ケアの提供をめざしている。

社会医療法人 愛仁会について

尼崎だいもつ病院
尼崎だいもつ病院

社会医療法人 愛仁会は1958年(昭和33年)に創立、翌年1月に現在の大阪市西淀川区佃に医療法人愛仁会 千船診療所が開院した。その後1966年(昭和41年)に千船病院として増床開院、1977年(昭和52年)には、法人の2つめの総合病院として、大阪府高槻市に高槻病院が開院、1999年(平成11年)には社会福祉法人 愛和会を設立、2015年(平成27年)には明石医療センターが愛仁会グループに加わり、昨年開院した尼崎だいもつ病院と合わせて、現在では高槻から明石に至る広い地域において、3つの急性期病院、リハビリ専門病院、診療所、3つの介護老人保健施設、訪問看護ステーション、地域包括支援センター、ケアプランセンター、ヘルパーステーション、検査センター、看護助産専門学校ならびに社会福祉法人愛和会の活動により、地域の各機関との連携のもとに、医療・介護・保健・福祉・教育を包括した総合的地域医療の積極的展開に取り組んでいる。

尼崎だいもつ病院について

外来受付フロア
外来受付フロア

尼崎だいもつ病院は、2016年(平成28年)4月、旧兵庫県立尼崎病院の跡地と建物を利用改修し、兵庫県立尼崎総合医療センターをはじめとした近隣の急性期病院の後方支援病院として、症状が安定した患者の受け入れや通所リハビリテーションの機能を目的として開院。翌春には同施設に隣接した場所に、介護老人保健施設とサービス付き高齢者向け住宅を新築、開設を予定している。また、地域包括ケア診療にも力を入れており、専用病棟での早期リハビリ介入と在宅復帰、退院後の訪問診療や看護、通所リハビリ、ヘルパーサービスなど、治療・回復から介護までのトータル医療ケアの提供を目指している。

電カル、介護システム双方から、画像情報を閲覧することで、最適な医療・介護の提供ができる

松森良信 院長
松森良信 院長

尼崎だいもつ病院 院長 松森良信氏に聞く

社会医療法人 愛仁会グループについてお聞かせください。

愛仁会は1958年に創設、千船病院の前身である千船診療所が発祥で、約60年の歴史があります。急性期病院としては、千船病院、高槻病院、明石医療センターの3つの病院があります。回復期病院としては、高槻にある愛仁会リハビリテーション病院(225床)と、当院である尼崎だいもつ病院(199床)、その他に3つの介護老人保健施設、訪問看護ステーションやヘルパーステーション、検査センター、看護助産専門学校などがあります。また、当院隣接の場所に介護老人保険施設(100床)とサービス付き高齢者向け住宅(60戸)を建築中で、今年の6月に開設する予定です。愛仁会グループ全体では、従業員は約4,000名、医師も400名を超えており、非常に大きな組織です。2009年(平成21年)には、社会医療法人の指名を受け、半公的な医療機関としての責務を果たせるよう、グループ一丸となって取り組んでいます。

貴院の概要についてお聞かせください。

病棟廊下
病棟廊下

高度急性期病院というのは、これからは単独の病院で急性期から回復期まで、全ての患者さんを診療し続けることはできず、急性期の医療提供に特化されます。この尼崎地域でもやはり高齢化の患者さんが多く、例えば胃の手術を行っても10日間の入院で帰れる患者さんはほとんどおらず、回復期のステージが必要な患者さんが非常に増えています。高度急性期には必ず回復期を担う病院が必要であり、旧県立病院の跡地(現尼崎だいもつ病院)を利用した回復期を担う病院の公募がされ、私たち愛仁会が応募、指名を受け、2年間の準備を経て、昨年の4月に開院しました。
病床数は199床でスタートしています。地域包括ケア病床が60床、回復期病床が110床、障害者病床が29床という内訳となっています。障害者病床については、神経難病の患者さんの受け入れを主として開設しています。阪神南圏域(尼崎、西宮、芦屋の3地域)の障害者病床は、谷向病院(西宮)の32床だけで、需要が多いにもかかわらず病床が不足している状況で、尼崎総合医療センターからの強い要望もあり、開設に至ったという経緯があります。実際開院後に沢山の患者さんが来院し、一番初めに満床になりました。
当院の診療科については、内科と整形外科が中心で、泌尿器科の外来も行っています。特殊な診療としては物忘れ外来(認知症外来)を開設しています。病棟の方は0からスタートしましたが、順調に病床が埋まり、稼働率も90〜95%の状況となっています。 外来はまだ来院する患者さんが少ない状況ですが徐々に増加しています。

貴院の特色や医療活動についてお聞かせください。

リハビリテーション室
リハビリテーション室

当院の診療には2つの柱があります。1つは高度急性期病院である兵庫県立尼崎総合医療センターをはじめ、近隣の急性期病院の後送病院機能、言い換えると回復期医療機能を果たすことです。この尼崎地域はとても病院数が多く医療資源が豊富な地域で、大きな高度急性期病院としては、兵庫医科大学病院(963床)、関西ろうさい病院(643床)があります。また、尼崎と塚口にそれぞれ400〜500床あった県立病院が2015年に統合し、西日本でも有数の超高度急性期病院として生まれ変わった兵庫県立尼崎総合医療センター(730床)も開院しました。中小規模(100〜200床)の病院も7つほどの病院があります。開業医のクリニックもとても多く、人口10万人あたり70施設が全国平均ですが、尼崎地域は90施設を超えています。また、この地域の特徴として、非常に高齢化が進んでいることが挙げられます。普通、都市部というのは若年者が多いのですが、尼崎地域は兵庫県の中でも高齢化率が高い方です。そのような状況の中、高齢の患者さんというのは色々な多疾患を持っていることが多くあります。脳卒中で治療中であっても、糖尿病もあり、心臓も良くない患者さんの場合、一つの病気で急性期病院に入院、治療しても、他の疾患によりなかなか家には帰ることができません。一方、この地域では回復期の病床は非常に少ない現状があります。現在、厚労省から出されている地域医療構想というのがあり、一般的に言われる2025年問題、団塊の世代が75歳を迎えた時には非常に高齢者が増え、どういう病床が必要かという分析を兵庫県が発表しています。高度急性期病院は今の数で十分、中間の急性期病院についても余ってくる。しかし回復期については2000床位が必要ですが、現在は500〜600床位しかありません。これから必要とされる医療の提供に特化し、尼崎地域全体でのチーム医療という観点で考え、当院は回復期というステージを担っていきたいと考えています。
もう一つの柱は地域包括ケア診療です。患者さんが色々な病気と共存しながら、地域で暮らしていくということが主眼ですが、私たちはこの尼崎地域で実現したいと考えています。回復期の次には自宅へ帰ることになりますが、その際には在宅医療や介護が整った「住まい」が必要になります。当院では同一施設内に介護老人保健施設やサービス付き高齢者向け住宅も開設に向けて準備中で、医療から介護までの一括したサービスを提供したいと考えています。

システム導入後の感想についてお聞かせください。

回復期が主体の病院ですので、検査機器については急性期病院に比べるとコンパクトな設備になりますが、当院のような病院にも柔軟に対応できるシステムだと感じます。画像ビューアやレポート、RISについても、同じジェイマックシステムの製品ということで、使い方が共通ですし、CTや単純撮影、エコーや内視鏡の画像など、過去の検査も含めて、同じビューア上で見ることができ、とても便利です。表示スピードも満足しています。稼動前にはSEの方と綿密に打ち合わせをし、当院の要望を踏まえたカスタマイズをしてもらいましたので、とても使いやすいシステムになっていると感じます。

患者さまのインフォームド・コンセントなどではいかがでしょうか?

診察の際も患者さんにモニターを見てもらいながら説明しています。過去に振り返り画像を比較して見ることができ、経過を説明できますので役に立っています。また電子カルテとの連携、親和性も良いと感じています。

今後の医療においてのIT化と地域医療連携について、貴院の取り組みや計画についてをお聞かせください。

放射線科受付
放射線科受付

当院および愛仁会グループのIT化については3点のことが挙げられます。まず1点目ですが、愛仁会グループ全体でPACSを中心とする放射線部門システムが同一のシステムになることを希望しています。これは実現しつつありますが、放射線科の画像診断の医師たちは人材が少なく限られているという現状があります。例えば、最新のCTは320列のものもあり、大量の画像枚数を見なければならず、画像診断医の仕事量、負担は大きくなるばかりです。当院規模の病院では専門の放射線科医に勤務していただくのは採算面でも難しいですが、当法人グループの病院であれば、こちらで撮影したCTやMR画像を転送し、診断してもらい、同じ画像を見ながら電話等で相談できたらと思っています。画像診断については、現在は、神戸大学が設立したNPO法人神戸画像診断センターを利用しており、早ければ当日中にも診断結果が返ってきます。疑問点があれば、電話で同じ画像を見ながら相談することもできます。放射線科の先生方も得意分野がありますので、部位や疾患等、この症例はこの先生に診断をお願いしたいというようなことをグループ内でできればと考えています。
2点目は医療と介護の連携についてです。当院では、電子カルテと介護システム、それらを橋渡しするシステムなどを導入していますが、PACSやレポートシステムも含めて、同一の患者IDを使用する運用をとっています。将来的には医療の電子カルテと介護システムの双方から、画像を含めた情報を閲覧できることで、最適な医療・介護の提供ができると考えています。
3点目は、尼崎を含む阪神南北医療圏域の7市1町の医療連携ネットワーク「むこねっと」の活用です。この「むこねっと」は、患者さんの同意のもとに、各病院に保管されている患者さんの診療記録を開放し、各医療機関で相互利用することができる地域医療連携システムです。地域のかかりつけ医や開業医の先生方が、病院を退院し自宅で介護されているまたは療養されている患者さんの診療録を見ることができます。まだまだ使い勝手やプライバシー保護もあり問題もありますが、当院でも参加しており、これから徐々に参加する医療機関が広がっていくと期待しています。

全体を通して、弊社への要望などがありましたらお聞かせください。

現在、医療機関の経営というのは決して楽なものではありません。 各検査機器やITシステムの導入や運用・保守について、可能な限りコストダウンが図れるよう、メーカー側も協力していただけることを希望します。保守サービスについては、十分対応していただいていると感じています。今後病院のシステムは、ますます複雑化すると予想されます。実現されつつありますが、様々な医療情報や診療録についてが、統一された規格により、システム構築・管理されることで、将来的なデータの活用に繋がると思います。ぜひ、各団体やメーカー間で統一規格について推し進めていただくことを期待します。

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